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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第16章 xxx ending √1:TORU



 私たちは再びの出会いを果たした。

 クラブキャッスルを率いるナンバーワンホスト、トオルこと及川徹。
 花のように可憐だった彼。優雅に笑う仕草はまさに、王子様、だった。今の彼にはその頃の面影すらないけれど。

 ひどい姿だった。

 オートクチュールのスーツはあちこちが破けていて、シャツには血が渇いたようなシミ。目元にできた大きな痣。いつ見ても美しくセットされていたはずの髪は、見るも無残に崩れてしまっている。

 空っぽの目。
 充血してる。

 皮の捲れあがった唇から想像できるのは、やはり、例の錠剤だ。加えてひどいアルコール臭。

 イーグルの従業員(しょゆうぶつ)に傷をつけたのだ。何が理由だったにせよ、その罪は何よりも重い。

 私の想像しうる全ての暴力を以って、白鳥沢組に報復されたのだろう。そして手を下したのは、きっと、京治さんだ。


「ひっ……お、お前、……女だろ!」


 錯乱。混乱。

 彼は支離滅裂なことを叫んで、それから、私に掴みかかる。パニックを起こしているらしい。

 クスリが切れたことによるショック症状、なのかもしれない。

「痛、い……っ徹、くん」

 弱っているとはいえ男性だ。

 加えて彼は身長も高いし、体重をかけて肩を掴まれると、身動きひとつできなくなってしまう。だから、振り払うことができなかった。

 それに、なにより。

「……っ、う、ごめ、なさ……っひとり、しな、で……ごめんなさい、ごめ、なさいぃ……っ」

 及川徹は泣いていた。
 小さな子供のように。

 ほろほろ、ほろり。大粒のなみだをいくつも落として、泣くのだ。ごめんなさい。そう繰り返して。

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