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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第16章 xxx ending √1:TORU



 私たちは時こそ違えど、同じ選択をしていた。あの町から出ていこう。そして、もう、二度と戻らない。

 逃げといえば確かにそうだ。

 この選択が合っているのか、なんて、きっと一生分からない。でも、このまま町に残っても傷を広げるだけ。それは良くない、と思う。

 歩くひとりの帰り道。

 風に攫われて落ちる葉。早足で歩く、俯き加減の人びと。クリスマスソング響く商店街。

 それらに紛れてこぼす涙が、少しずつマフラーを濡らしていく。

『……さようなら』

 及川徹は泣いていた。
 最愛に別れを告げて。

 彼がその後どうなったのか、私は知らない。誰も知らない。岩泉さんも分からないと言っていた。

 しかし、白鳥沢組が【処理】したことだけは確かだろう。嫌でもむごたらしいシーンが浮かんで、それを消すようにして強く目を閉じた。


 ドンッ


 何かに、誰かに、ぶつかった。

 ぞわりと駆けぬける既視感。この感じ、前にもどこかで。そうだ。国道沿いの大型量販店。


「……っあ、れ、お姉さん……どこかで俺、と会っ、会ったことある? アハハッ……ね、あるよねェ……?」


 シャネルの五番。
 ほのかに、香る。

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