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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第16章 xxx ending √1:TORU



 首が取れてしまうかと思った。

 それくらい勢いよく振り返って、見つめる。爽やかなペールグリーンのパジャマに身を包む彼。羽織ったオフホワイトのパーカーが目に眩しい。

 岩泉さん。そう呼びたいのに。

 どんなに声を振り絞っても、出てくるのは情けない感泣ばかり。


「……あ、……おお、声出る」


 驚いているのは彼自身だった。

 男らしい喉元に手を当てて目を丸くしている。そのまま見つめ合うこと、何秒だっただろうか。


「……っごめ、なさい」
「……ごめんな、色々」


 語句選びに違いこそあれ、私たちが口にしたのは、どちらも同じ言葉だった。

 キョトン。ぽかん。
 そんな効果音すら聞こえてきそうだ。豆鉄砲を食った鳩よろしく。雷に打たれたアヒルよろしく。

 空いた口が塞がらない。

 ふ、と笑いを漏らしたのは彼だった。整った眉をハノ字に曲げて、困ったように笑う。

「カオリ、お前鼻水出てるぞ」

「!? う、わ……ホントだ」

 慌てて鼻を啜る。頬が赤くなる。
 なんとも女子力の低い再会、だけど、またこうして話せてよかった。本当に。

「中入れよ。ティッシュあるし」

 岩泉さんは含み笑いで言って、スライド式のドアに手をかけた。

 音もなくレールを滑って開く扉。
 きちんと整えられた白いベッド。窓際で揺れるカーテンからは、優しい光が零れている。

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