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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第15章 extra xxx 003



 パーキングエリア内のカフェで軽食をとったあと。屋内型駐車場の再奥にある、大型バイク用のスペースを目指している途中で、それは起きた。

「あ、ん、……やだぁ」

 おふす。これはもしや。
 明らかに聞いてはいけない部類のそれ。艶を含んだ女性の声は、すぐ近くから聞こえている。

 硬直する私。顔面を凍らせる黒尾。

 どうするよ、オイ。
 こちらに目配せする彼はそう言いたげだ。どうするもこうするも、そっとスルーするしかないでしょうに。

 しかし、ここで更なる悲劇が起きた。

「やだ? 何言ってやがる……こっちのお口は涎垂らして悦んでるじゃねェか」

 鼻にかかったような低い声。

 それに加えて、あの、やたら古風なべらんめえ口調。私の脳裏に浮かぶのはド派手な白髪頭だ。

 そろり、柱の影に隠れる。

 「何してんだよ」と小声で訝る黒尾を、人差し指で黙らせて、薄暗い駐車場に目を走らせた。


「ん、もう……えっち」

「男は皆、狼なんだぜ」


 うぷす。やっぱりオーナーだ。
 公共の場で何してんだあの人。

 ていうか真顔で、男は皆狼なんだぜ、とか恥ずかしいにも程がある。なんだ。あれか。決め台詞のつもりか。チョイスが古いわ色惚け天然パーマ!

(なに、まさかお前の知り合い?)

(……まあ、そんなとこ、デスネ)

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