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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第15章 extra xxx 003



 冒険の結末はいたって単純だ。
 壮絶なバトルもお涙ちょうだいのエンディングもない。ごく平凡なおはなし。

「ぶ、にぃー」

 このブサネコ、こと、黒猫さんは生意気モデルの飼い猫だった。ちなみに最近拾ったらしく、名前はまだない、とのこと。

「研磨ぁぁ……よかったよう」
「ったく心配かけやがって!」

 迷子センターで泣き崩れる両親。

 KEI、こと、月島蛍にそう称された私と黒尾。そんな私たちの視線の先には、静かに寝息をたてる研磨がいた。

 蛍くんのベッドで眠る彼。

 その寝息はまだまだお酒臭い。頬も赤くなったままだし、聞けば、桟橋でひっくり返って寝てたのだという。

 観光客のカップルに発見されて、あわや警察に通報、という寸前でランニング中の蛍くんに引き取られたんだそうだ。


「……研磨はトモダチだから」


 蛍くんがぼそりと呟く。

 私たちと遭遇した際、彼は、コンビニの袋を手にしていた。中身はお水と、ケーキと、シナモン香るアップルパイ。

 優しいとこもあるんじゃん。
 そう思ったのは彼には内緒。

「ああ、お前、芸能人か。どっかで見た顔だと思ったぜサインください」

「何このオッサン死ねばいいのに」

 蛍くんがここに引っ越してきたのは、芸能界に入ってかららしい。

 研磨と同じフロアだから度々顔を合わせていたんだとか。なんとなく、二人は雰囲気が似てるし、仲良くなるのに時間はかからなかったのかも。

「私も蛍くんに激しく同意する」

「気安く名前呼ばないでよオバさん」

 前言撤回。

 研磨は天使だけどこっちは悪魔だった。許すまじ。ちょっと年下だからって、許すまじである。

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