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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第15章 extra xxx 003



 くるり。黄色い目が振りかえった。

「うにゃー……」

 気怠げに鳴いてジッと私たちを見る仕草は、まるで、ついてこいと言っているかのようだった。

 藁にも縋りたいのだ。
 神頼み猫頼みである。

 黒猫さんと同じ顔をした黒尾の服の裾を引っぱって、歩きだす。すると、小さな彼も再び歩きだした。

「お、おい、どこ行くんだよ」

「彼がついてこいってさ」

「は……? ついに沸いたかお前」

「失礼千万か。クソ尾のくせに」

 懲りずに軽口(悪口)を叩きあって、夜の海岸を、猫に連れられるまま歩く。ザザ、ザザ、さざ波の揺れる音は絶えることがない。

 まん丸なお月さま。まん丸な球体展望室。ふたつの丸が、私たちの珍道中を見下ろしていた。



「え、……ここ、って」

「研磨の家じゃねーか」



 到着した場所は他でもない。

 夜空に向かって高く伸びるツインタワーマンション。洗練されたそのエントランスホール、の手前に設置された、オートロックシステム。

 ぴかぴかに磨かれた自動ドアの前で、私たちは呆然と立ち尽くしていた。

「う、にゃあ」

 くしくしと顔を洗う黒猫さん。

 今更になって猫が道案内なんかできるワケないじゃん、と、至極当たり前のことを後悔しはじめる。

 無駄に歩かされた黒尾からは殺意の波動を感じるし、これはマジでヤられるかもしれない。


「ちょっと、そこ、邪魔なんだけど」


 悶々とした意識を撃ち抜かれた。

 聞き覚えのある声。生意気な声。振りかえると、ほら、やっぱり。そこにはランニングパンツ姿の毒舌モデルが立っていた。

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