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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第15章 extra xxx 003



 しかも、だ。

 桟橋にはお菓子の包み紙やら、甘めのカクテルの空瓶やら、研磨を思わせる物が散乱している。

 その内のひとつを黒尾が拾いあげた。

「これ、……研磨が好きなやつ」

 ほのかに香るアップルフレーバー。
 可愛らしいラベルが貼ってあるが、アルコール度数の表記は10%を上回っている。

 それが何本も転がっているのだ。

 頭を過ぎるのは最悪の事態。
 冬の海。極寒の海。最後に聞こえた、雑音が、水面に落下したときの音だったら……?

「……──研磨……ッ!」

 半狂乱だったと思う。

 取り乱して海に飛びこもうとする私の首根っこを、寸前で、黒尾の大きな手が引っ掴んだ。

 凄まじい力で後方に引っぱられる。尾てい骨が地面に打ちつけられて、思わず顔が歪む。



「死ぬ気か!馬鹿野郎!」

 ぺち、頬に触れた熱は、黒尾の掌。



 おかしくなるくらい優しいビンタだった。直後にぎゅうっ、と頬をつねられて、その痛みで正気に戻る。とても痛い。

「危 ね え だ ろ う が」

「……ご、ごめんなひゃい」

「ん、分かれば宜しい」

 解放された頬を涙目になりつつ摩る。

 おかげで私は落ちつきを取り戻したけど、事態が好転したワケじゃない。研磨はまだ見つかっていないのだ。

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