第15章 extra xxx 003
「てんめェェ……年頃の女が!しかもミニスカートで!こんな物騒なとこフラフラしてたら危ねえだろうが!」
脳天をグリグリされる。
めっちゃくちゃ、痛い。
コンビニに入ってくるなり私をドヤしつけた黒尾は、鼻のあたまと頬が真っ赤になっていた。
相当飛ばしてきたのだろう。
恐らく、一発で免許停止になるスピードだったはずだ。
そうでなければ、この短時間でこんなにも風焼けするはずがない。
「そんなに怒らなくても!」
「怒るわボケェ!」
「痛い!下痢になる!」
コピー機のあたりで言い争う私たちに「店内では静かになさい!!」と、母親みたいな喝をいれるのは、さっきの店員さんだった。
怖い。顔が。まるで鬼である。
「……す、すみませんデシタ」
「……もう騒いだりしません」
あまりに恐ろしいその形相。
思わず二人して謝って、申し訳程度にコーヒーを買って、すごすごとコンビニを後にした。
「お前のせいで俺まで怒られた」
「最初に騒いだのは黒尾じゃん」
お互い口が減らないところも相変わらず。プシュ、と缶コーヒーのプルトップを開けて、黒尾がこちらを睨む。
「それで?」
「それで、と、申しますと」
「こんなとこで何してた」
ヤクザさんのお家にいました。
そんなこと口が裂けても言えるワケがない。どうにかして切り抜けなければ。
すかさずスマホを取りだした。
オイ、と凄む黒尾を無視して。
研磨の番号を呼びだして耳に当てれば、聞こえるのはクラシックのメロディコール。ダメ元でかけた電話だったが、しかし、それは予想に反してすぐに繋がった。