第15章 extra xxx 003
「げ、……黒尾」
『お前それ普通電話出てから言う!?』
「……もしもし」
『随分嫌々だなオイ!』
電話をかけてきたのは黒尾だった。
久々すぎて存在自体忘れてた、けど、そんなこと言ったら本気で怒られそうなので黙っておくことにする。
「え、なに……どしたの」
『研磨がまた家出したんだよ』
お前のとこ行ってねえ?
黒尾は焦った風でもなく、普段どおりの飄々とした声で聞いた。
彼の言う『お前のとこ』とは、もちろん、ピンクオウルのことだ。
どうしよう。何て言おう。やめたから知りません、なんて言えないし、どう答えればいいのか分からない。
返事につまって言い淀む。
『……カオリ? お前どこにいんの』
う、げ。
しまった。勘繰られた。
そう思ったときには時既に遅く、黒尾の声音が一気に低いものに変わる。
『つーかその鼻声、また泣いてたんだろ。なんかあったのか?』
黒尾は異常に頭が切れるのだ。
ことの次第まではバレていないにしても、私がオウルにいないことだけは確信したらしい。
『答えろ、今どこだ、言え』
問答無用で尋問してくる警官口調に耐えられず、それでも、どうにか濁して付近の住所を伝える。
しかし、それがまずかった。