第15章 extra xxx 003
私さえいなければ。だなんて。
そんなのは都合のいい逃げ文句だ。
やってしまったことは何も変えられない。いくら悔やんだって、犯した罪は、消えてはくれないのだから。
「……っ、う、……ぅ」
漏れる嗚咽は情けなく、噛みしめた唇からは鉄の味。
ごめんなさい
ごめんなさい
喉を雑巾のように搾る。慟哭する。その場にうずくまって、膝をついて、そのまま、額を床にぶつけて泣きつづける。
フローリング。冷たい焦茶色。
どのくらいの時間そうしていただろう。枯れることのない涙が、あちこちに、ボールのような水溜まりを作っていた。
ピリリッ
ピリリッ
突如、聞こえたのは着信音。
くぐもったそれの出所はダイニングで、音を頼りに進むと、テーブルの上に私のバッグが置かれている。
恐らく白布さんが整えてくれたのだろう。いや、京治さんかもしれないけど。
ともかくバッグの中身が綺麗だ。
超、綺麗に整理整頓されている。
女子として若干恥ずかしく思いながらも、ビシッと揃えられたコスメポーチと手帳の隙間から、いまだ震えているスマホを取りだした。