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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第15章 extra xxx 003



 私さえいなければ。だなんて。

 そんなのは都合のいい逃げ文句だ。
 やってしまったことは何も変えられない。いくら悔やんだって、犯した罪は、消えてはくれないのだから。

「……っ、う、……ぅ」

 漏れる嗚咽は情けなく、噛みしめた唇からは鉄の味。

 ごめんなさい
 ごめんなさい

 喉を雑巾のように搾る。慟哭する。その場にうずくまって、膝をついて、そのまま、額を床にぶつけて泣きつづける。

 フローリング。冷たい焦茶色。

 どのくらいの時間そうしていただろう。枯れることのない涙が、あちこちに、ボールのような水溜まりを作っていた。


 ピリリッ
 ピリリッ


 突如、聞こえたのは着信音。

 くぐもったそれの出所はダイニングで、音を頼りに進むと、テーブルの上に私のバッグが置かれている。

 恐らく白布さんが整えてくれたのだろう。いや、京治さんかもしれないけど。

 ともかくバッグの中身が綺麗だ。
 超、綺麗に整理整頓されている。

 女子として若干恥ずかしく思いながらも、ビシッと揃えられたコスメポーチと手帳の隙間から、いまだ震えているスマホを取りだした。

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