第14章 extra xxx 002
赤葦を待ち受けていたのは、思わず目を覆いたくなるような光景だった。
「カオリ……っ!!」
彼はまず一目散にカオリの元へと駆け寄り、茫然自失としてうつむく彼女を抱き締める。
下着も身につけずに、ただ、その身を震わせる最愛の女性(ひと)。その下肢から漏れる白濁を見て、赤葦は、心臓が強く拍動するのを感じた。
ドクンッ
比喩でも何でもなく、事実。
一瞬にして身体中の血液が熱くなっていく。同時に、ココロが氷のように冷たくなっていく。
「……殺してやる」
無意識に呟いていた。
その言葉に弾かれるようにして、カオリがハッ、と顔を上げる。
怯え。混乱。安堵。
ころころと表情を変えた彼女は最後に瞳を潤ませて、しかし、決して泣くことはしない。
「……岩、泉さんが、」
イワイズミ?
赤葦は心中でカオリの言葉を反芻する。
聞き覚えのあるその名について考える暇もなく、今度は、カオリの視線がベッドに向けられていることに気が付いた。
彼女の視線に導かれた先。
豪勢な羽毛布団に埋もれて、人間の、しかも男の横顔のようなモノが見える。