第14章 extra xxx 002
もうやめて。お願いだから。
縋るような想いで及川徹を見上げるが、しかし、やはりそれは無駄な行為でしかないらしい。
「……っん、う、ああっ!」
肩を押さえつけられる。そのまま腰を下ろすように強要される。精液と愛液でぐちゃぐちゃになった陰茎が、再び奥深くに挿入される。
痛い。痛い。痛い。
挿入を繰りかえしたことで擦れた膣口が痛い。意思のない射精を受け止めつづける子宮が痛い。
結果的に岩泉さんを傷つけてしまっているこの事実が、何よりも、痛い。
「ひっ、あ、……っ、また、出ちゃ、ん……──ッ!!!」
強制された射精は拷問だ。
永続的に与えられる刺激はもはや苦痛でしかなく、その証拠に、岩泉さんの眦からは涙が溢れている。
震える身体。細くなっていく息。
クスリの影響なのか、渇ききった気管がヒューヒューと音を立てているし、彼には今すぐ安静が必要だ。そんなこと火を見るより明らかなのに──
「……っ死んじゃうよ!?」
気付けば叫んでいた。
「このままじゃ、岩泉さんが、……っお願い、もう、やめて……!」
及川徹の美しい顔が歪んでいく。
浮かぶのは明白な憎悪。
そして、強烈な殺意だ。
凄惨な暴力が脳裏を過ぎる。
殴られるか、蹴られるか、はたまた本当に殺されてしまうか。
及川徹という狂気の逆鱗に触れたのだ。命を奪われても何らおかしくはない。
きつく瞼を閉じる。
受けるであろう何らかの【痛み】に備えて覚悟を決めたのだが、しかし、いつまで経ってもそれは襲ってこなかった。
「……さようなら」
ぽつりと彼が残した言葉。
ひどく震えた別れの言葉。
そっと瞼を開いたときには、もう、及川徹は姿を消していた。
パタン
ドアが閉まる、──寂しげな音。
*