第14章 extra xxx 002
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及川徹は泣いていた。
「あっ……やめ、も、やめて……っおかしく、なる……!」
ただ黙って落涙しているのだ。
私の下で喘ぎ苦しむ岩泉さんをぼんやりと眺めて。ぼろぼろと大粒の雫をこぼしている。
なぜ、彼が泣くのか。
なぜ、彼は泣くのか。
私には到底理解できなかった。
「ん、うっ……ぁ、っ出、る」
目が覚めるとここにいた。
初めての客が帰ったあと、新しい同僚に勧められたカクテル。あれを飲んだ直後から記憶が途絶えている。
恐らく、一服盛られたのだろう。
そして、それは岩泉さんも同じだ。
トロンとして焦点の定まらない瞳。充血した眼球。時折歯を食いしばる仕草。
明らかに普通じゃない。
彼はきっと、私なんかよりずっと強力で危ないモノを飲まされてる。
「は、っ……あっ、……ッ!」
膣内に感じる生温かい熱。
グッ、と下腹部に力を篭めれば、流れ出るのはどろどろの液体。
もう何度こうして注ぎこまれたか分からない。幾度となく果てた岩泉さんは朦朧として、意識を保っているのがやっとの状態だ。
限界だった。
私も、彼も。
これ以上行為を繰り返せば身体が、こころが、本当に壊れてしまう。