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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第14章 extra xxx 002



 豪華絢爛という言葉がピッタリだ。

 カオリは部屋に入るなり思う。
 一泊するだけで何百万円とかかるこのスイートルームには、一体、どんな人間が訪れるのだろう。

 自分とは一生無縁だと思っていた。
 煌びやかな世界。まやかしの輝き。

 総大理石の床をしげしげと見つめる彼女を、そっと、赤葦がエスコートする。

 促されるままシャワーを浴びたカオリは部屋で待機するように告げられ、彼の言葉に従ってキングサイズのベッドに腰掛けた。

『あの、京治さん……っ』

 多くを告げようとせずに去ろうとする赤葦。そんな彼を呼び止めて、カオリは言葉をつまらせる。

 その瞳は不安げに揺れていた。

 無理もないだろう。
 彼女はほとんど現状が理解できていないし、これから先、巻き込まれていくであろう世界についても無知なのだ。

 赤葦は迷う。何を言うべきか。
 別に隠し立てするつもりはないが、しかし、洗いざらい話してしまうには時期尚早な気がした。

 だから、彼は言う。


『大丈夫。俺を信じて』


 この言葉に嘘はない。

 カオリが組にとって有益だと、必ず、組織に認めさせてみせる。そうすれば堂々と彼女を娶(めと)ることだって可能なのだから。

 カオリの顔が少しだけ安堵に緩んだのを確認して、赤葦は、ひとり部屋を後にするのだった。

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