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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第14章 extra xxx 002



 これで最後にしようと思った。

 夢は、夢のまま。
 せめて美しい思い出としてその胸に残そうと、赤葦京治は、カオリの元へと向かったのである。


『もっと、……奪って』


 愕然とした。動揺した。
 すごく嬉しいと思った。

 心の奥底に封じこめて鍵をかけたはずの欲。この女が欲しい。どこまでも、骨の髄までも、自分のモノにしてしまいたい。

 男としての欲求。
 人としての愛情。

 赤葦に芽生えた初めての感情は渦を巻き、やがて、彼をある決意に至らせる。


『覚悟しな』

 覚悟しろ。


『絶対に逃がさない』

 もう逃げられない。


 普通に愛してやれないのなら、この世界なりの作法で愛そう。奪ってくれと願うのであれば、とことんまで奪おう。

 常に俺の側に、ずっと側に。

 イーグルで仕事の成果を出させれば、組もカオリを認めざるを得ない。そうしたら、あとは、このどうしようもなく穢れた世界で永遠に結ばれればいい。

 なんという悲しい物語だろう。
 誰もが憧れるハッピーエンド、そんなもの、この町には存在しない幻だ。

 赤葦はその心に大きな悲哀と覚悟を抱き、彼女に、彼が愛したカオリに、鷲の烙印を晒けだす決意をしたのだった。

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