第13章 extra xxx 001
地獄みたいな現実から逃げるようにして向かった先。
一番街から離れた駅前の、煌びやかなハイタワーホテル。VIP専用のスイートルームフロアにその店はある。
ちょっと引くくらいの分厚い札束と、会員の紹介、それなりの地位。この三つを持っていないと入口すら潜らせてはもらえない裏風俗店。
【Knight Eagle】
この国のお偉いさんたちの為だけに作られた、何でも有りの、高級ソープランドだ。
「おやァ~? 誰かと思えば、キャッスルの色男さんではないですか~……今宵はどのようなご用件で???」
相変わらず、不気味な男。
エレベーターホールに陣取って見張りをする天童覚に肩を掴まれて、その手を振り払いたい衝動に駆られた。けど、我慢だ、我慢。
「実はさ、仕事をね、頼みたいんだ……それもとびっきり危ないやつ」
この男の扱い方は心得てるつもりだ。
なるべくフレンドリーに、かつ、こいつの少年心をくすぐるようにおねだりをする。
そうすれば、ほら。
「それ、……内緒のお話です?」
「そう。お前の大切なウシワカにはバラしちゃ駄目だよ。ああ、あと、……ケージっていうガキにもね」
爬虫類を思わせるまん丸の目がスッ、と糸のように細くなる。まずはワンヒット。掛かりは上出来。
さあ、あとは報酬を積むだけだ。
「三本でどう?」
「うーん……カオリはうちじゃAランクなんで、四本はないと足りませんねェ」
相変わらずの察しの良さ。
末恐ろしいって、こういう奴のことを言うんだろうね。絶対敵には回したくないタイプ。まあお互いにそう思ってるんだろうけど。