第13章 extra xxx 001
「及川……お前、客を追い込むのもいい加減にしろよ。このままじゃ店の看板にまで泥塗ることになるぞ」
どうしてそんなに怒るの。
稼げれば何でもいいじゃん。騙される女が悪いんだし。岩ちゃんはさ、変なところで真面目すぎるんだよ。
でも、やっと、話してくれた。
「以後気をつけまーす」
「オイ……ふざけてんのかテメェ」
「ちゃんと本気だよ?」
本気だよ。いつだって。
岩ちゃんが俺から離れていかない限り、ずっとこの店のために働くし、その為なら身だって心だって削るよ。
俺が一番辛くて苦しいとき、唯一優しくしてくれたのが岩ちゃんだったから。
ゴミ同然の生活だった俺を、拾ってくれたのが岩ちゃんだったから。
ちゃんと本気で働くよ。たとえ自分がブッ壊れたとしても、それでも、全然構わない。
口が裂けても言えないけどさ。
でもね、本当にそう思ってる。
『うちのホストにもいるよ。ハジメさんのために俺頑張ります!みたいな馬鹿がいっぱいね』
その馬鹿の筆頭が俺だって知ったら、あの子、どんな顔するんだろう。別に知りたくもないけど。
ああ、本当に忌々しい。
また思い出しちゃった。
「……なあ、トオル」
「え? どうしちゃったの急に下の名前で呼ぶなんて、あ、わかった! もしかしなくても岩ちゃんってば仲直りし」
「俺、この仕事やめるわ」
ねえ岩ちゃん。
今、なんて、言ったの。