第13章 extra xxx 001
「トオルさん4番テーブルご指名です」
この世界は常に灰色だ。
つくづく、くだらない。
大して好きでもない酒を浴びるほど飲んで、毎日クタクタになるまで女を悦ばせて、欲しくもないお金を貰う。
楽しいことなんて一個もない。
でも、まあ、俺にとってはある意味これが天職なんだけどさ。
「トオルって本当にいい男」
「トオルの為にドンペリね」
賛辞なんてどうでもいい。
評価なんかされたくない。
どうせ皆、見てくれのいい俺が好きなだけでしょ?
綺麗に着飾って、優しげに微笑んで、金を払えばセックスだってしてくれる。商品(ホスト)としての及川徹が好きなだけ。本当の俺なんて誰も見てくれない。
「酷い……散々利用しといて、私を、捨てるのね……?」
だから傷付ける。だから奪う。
ヒトの上辺しか見ようとしないからお前はこういう目に合うんだよ、って思い知らせてやるんだ。
何もかも奪われて傷付くのは、もう、こりごりだし。だったら俺は奪う側にいたい。
俺を責めないでよ。
悪いのは俺じゃない。
全部、女が悪いんだ。
「捨てるも何も、最初からビジネスでしかなかったし。もしかして勘違いしちゃった? あはは、……滑稽」
「…………最っ低!!!」
ほら。そうやってすぐ泣く。
泣いて、喚いて、縋って、そうすれば男が同情して言うこと聞いてくれるとでも思ってるのかな。
これだから女は、大嫌い。