第3章 xxx 02.及川徹
「クソ川ボゲェェェ!!!」
怒声、罵声、ふっとんだドア。
アクション映画さながらに木製のドアを蹴り飛ばして、ものすごく顔の怖い人が転がりこんできた。
「岩ちゃん!!?」
徹くんは私の影にサッと身を隠し(デカいから全然隠れきれてないけど)、顔半分だけを出して「岩ちゃん」をうかがい見る。
慌てた光太郎が走ってきて、無残にも壊されたドアを見た途端に顔面蒼白になった。
「ちょ、マジか岩泉くん!
ドアは優しく開けてねって
俺あれほど言ったよね!?」
オーナーに怒られんの俺なんだぞ!と憤慨する光太郎。彼と同じような黒一色のスーツを着た岩泉さんは、「ああワリィ」と短く言って──
「ぎゃっ!痛い!」
徹くんの頭部を鷲掴みにした。
「弁償はこの、バカ川の
給料から天引いとくんで。
ひとつ話つけといてくれや」
男前だ!いや言ってることムチャクチャだけども!
ショックを受けて「理不尽!」と叫ぶ徹くん。
しかし、岩泉さんによる「うるっせえ!仕事戻んぞボケタコ!」の言葉とヘビー級のゲンコツを食らって、それ以上は文句を言わなかった。