第3章 xxx 02.及川徹
「え、お代はレジで……」
「ああ違うよ。これは
俺が君にあげたいだけ」
お店には内緒だよ?
小首を傾げて言いながら、徹くんは私の腕を掴んで、自分の方に引き寄せた。ほんのりムスクっぽい香水が香る。これシャネルの五番、かな。
右手をベッドに座ったままの徹くんに引っ張られて、彼に抱き留められる形になる。それから、腰のあたりを彼の掌が撫であげた。
「華奢だね……脱いだら
もっと細いのかな……?」
ゾクリとしたものが背中を走る。
粟立った肌をさらに男らしい指先がなぞって、思わず身を捩ってしまった。
そのことで余計に密着した私の身体が、熱を持っていることに気付いて、彼は笑う。
「今度はオシゴト、してほしいな」
「……っ!」
耳たぶを這うねろりとした熱は彼の舌だ。
少しお酒の匂いがする徹くんの吐息が、直接耳を犯してくる。わざとらしく注がれる甘ったるい声。「俺、君となら本番してもいいよ」挑発的な台詞に心臓が跳ねた。
そのときだった。