第12章 xxx 11.幽閉
彼の背中に彫られたそれに見惚れる暇もなく、押し倒される。動きを封じられる。
赤葦さんの片手に纏めとられた両手首。ギリ、と頭上に持ちあげられて、腕の筋肉が引きつれる。
再び唇を塞がれるのと、太股の間に脚をねじ込まれるのは、ほとんど同時だった。
「や、ぁ、赤葦さ、んっ」
「京治でいい。そう呼んで」
「……っ京、治、さん」
ふと、彼が微笑んだ気がした。
すぐに顔を首筋に埋められてしまったから、よく見えなかったけれど。
鎖骨から耳の裏にかけて温かい舌が走る。頭蓋と首を繋いだところ、肌の柔らかい部分を吸われて、チクリとした痛みを感じた。
直後、ハッとしたように彼が顔を離す。
「……さすがに痕付けちゃまずいか」
ぼそりと独りごとのように。
彼は呟いてすぐ、怪我をしたほうの手で私を撫であげた。
右脇腹をゆっくりと這う掌。熱い。彼の体温。すぐに胸に到達したそれはネグリジェを鬱陶しそうに退けて、直に乳房に触れる。
「ひっ、や、ぁあんっ」
焦らしなんてものはもう存在しない。
欲のまま、本望のまま、私が一番感じる場所へ与えられる愛撫。男っぽくて、荒々しくて、激しい。これが京治さんの素顔。