第12章 xxx 11.幽閉
後悔さきに立たず、だ。
「ほら、早くちょうだいよ」
赤葦さんの口が、唇が、なんともセクシーな半開きで私を誘っている。もとい。フルーツを誘っている。なんつうエロさだ。私はもはや彼に食べられるフルーツになりたい。
心臓はまるで早鐘のよう。
限界まで速度をあげた血流が身体中をめぐって、目眩がする。
なぜアーンさせてください、なんて言っちゃったんだろう。せめて肩揉みさせてください、とかにしとけば良かった。
いやそれはそれでエロいうなじが拝め……って、おかしな妄想はいい加減やめるとして。
「しっ、失礼します……!!!」
意を決した。
プラスチック製のピックに黄金色のパインを刺し、彼の、赤葦さんの綺麗なお口に侵入を試みる。
薄紅色の唇に果汁が垂れた。
つう、と彼の頤(おとがい)を流れる無色透明の液体。意外と肉厚のリップに包みこまれていく実の部分。
「………ん、甘」
漏れるのは切なげな声。
甘いものが得意ではないのだろうか。ちょっと不機嫌そうに眉根を寄せて、彼は親指で果汁を拭ってみせる。
ふいに赤葦さんの手が伸びてきて、そのまま、口内に親指を押しこまれた。
「ん……な、に、んんっ」
「お前にも味見させてあげる」
ぬるり、塗りつけられる。
口腔を犯すパインの香り。