第12章 xxx 11.幽閉
「ゲームしようか」
赤葦さんの口からそんな言葉が出たのは、それから間もなくしてのことだった。
彼にしては突拍子もない提案。
元より掴みどころのない人だと思ってはいたけど、ますます、何を考えているやら分からない。
「ゲーム、ですか?」
「簡単なコイン遊びだよ」
おもむろにコインを数枚取り出して、彼は、空いたグラスにお酒を注いでいく。
淵いっぱいに注がれたそれ。
今にも溢れてしまいそうなグラスを床に置いて、赤葦さんは淡々と言葉を足していった。
「交互に一枚ずつコインを沈めて、先に溢れさせたほうが、負け。勝ったほうの言うことを聞かなきゃいけないのが、罰ゲーム」
「コインドロップかあ……私、これ弱」
「まずはカオリからね。はい」
ふ、え!?
私まだやるともなんとも言ってな……んんんめっちゃ見つめられてるんん。これはあれか。あれだ。やらないとヤラれるやつだ。ていうかコインを頬に押しつけないでください痛い!
「……やらさせていただきます」
赤葦さんの氷点下よりも冷たい視線に観念して、私は、泣く泣くコインを受け取るのだった。
先が思いやられる気しかしない。