第12章 xxx 11.幽閉
彼はなんて答えるのだろう。
恐る恐る赤葦さんを伺いみて、その視線が私に向けられていることを知る。口元には妖しげな微笑。これは、良からぬことを考えている顔だ。
「そうだよ。俺のお気に入り」
予感は見事に的中。
赤葦さんは私の腰を抱き寄せて、ネグリジェの上から指先を這わせてみせる。
シルクのベビードール。彼の冷笑に似たブルーのそれが、腹部から胸にかけて捲りあげられた。
「見ていく? 今からもっと凄いこと、するけど」
ボンッ、という幻聴が聞こえて、夕くんの顔が火を噴いた。煙の錯覚すら見える気がする。
燃える夕陽よりも赤くなった彼はアワアワと、口と手足を動かして忙しなく動いた。
「あ、いやっ、その!見たいスけど!でも見ちゃいけねえ気がするっていうか!めっちゃ見たいスけど! あ、これ注文の品、ここに置いときますね! 会計は光ちゃんに渡してくれれば月末に振込まれるんで!」
ものすごい長台詞。そして、早口。
舞台俳優も羨む滑舌の良さである。
「そんじゃ失礼しました!!!」
子どもは風の子、脱兎の如し。
地面に頭をぶつける勢いでお辞儀した夕くんは、超特急で部屋を出ていった。
ドンガラガッシャーン!
………転けたよね、今。