第12章 xxx 11.幽閉
啄ばむように唇を食んで、重ねて、音のないキスをする。時々かかる吐息は赤葦さんの香り。ミントの香り。
ガムなのか、タブレットなのか。
その裏に隠された煙草の匂いが妙に色っぽくて、またひとつ、彼に魅了される自分がいる。
もっと深いのが欲しい。
もっと貴方を感じたい。
薄く口を開いて、それから、濡れた舌先をちょこんと下唇に乗せる。ちょうだいの合図。待ち望むのは、ディープなところに落とされる大人のキスだ。
「ん、ふ……っ」
唇を重ねる角度が大きくなった。
直後、赤葦さんの舌がナカに入ってくるのが分かる。
思っていた以上にすんなりと、焦らされることなく聞き入れてもらえた要求。今度は淫らに音を立てて、貪るように口付けを交わす。
ちゅ、ちゅぷっ
彼が鳴らしてくれる音はすごく婬猥で、濃厚で、否応なしに耳を犯される。
キスだけなのに、こんな。
熱くなったそこが疼いて、もどかしくて、堪らない。次から次へと蜜が溢れてくる。
「ん、はぁ……っ赤葦、さん」
縋るようにして抱きつき、彼の後頭部に手を添えた。ふわふわ。柔らかい髪。なんだか愛おしくて、胸がきゅっと苦しくなる。
「チワーッス! 宅配でーす!」
「!?」
赤葦さんとの狂おしく甘い時間を中断させたのは、前髪にメッシュが入ったデリバリー屋さんの大声だった。