第12章 xxx 11.幽閉
「……赤、葦さん、の」
「俺の?」
「……っ赤葦さんの為です」
とんでもない羞恥プレイをさせられている気分だった。身体全部が火のように熱くなって、生理的に滲んだ涙で視界がぼやける。
思わず俯いて両手で顔を覆った。
私、いま絶対おかしな顔してる。
「お前、茹でたタコみたいだね」
「……っ! せ、せめてトマトとか」
「じゃあカニ? エビでもいいよ」
んん、本当に意地悪。なぜそこまで魚介類推しなんですか。林檎とかさくらんぼとか、赤いものって色々あるのに!
「……あまり虐めないでください」
拗ねたように言って、そっと、彼の隣に腰を下ろす。ベッドを背もたれ代わりにして床に座ると、カーペットの感触が太股にざらりと伝わった。
「俺はそれを楽しみにきたんだから」
彼の指がつい、と頬をなぞる。
ぴくりと身体が跳ねて。まつげが震えて。ほら、また、──貴方と目が合うと身体が動かなくなるの。
「目、閉じて……カオリ」
ほぼ無意識に赤葦さんの言葉に従った。ゆっくり、ゆっくりと、瞼を閉じて、暗闇を見つめる。
「化粧してなくても可愛いよ」
言葉とともに触れたのは熱。
まつげに落とされた優しいキスに笑みが漏れて、私は、その甘やかな毒を受け入れるのだった。