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【ヘタリア】蒸気と歯車の町【夢小説】

第1章 彼と初めて出会った日の事


「どこに行くつもりだ?」

「ちょっと…トイレ?」

逃げたことをはぐらかそうとしているガキの腕には猫が抱えられている。
猫にはゴーグルや小さなかばんを装備している猫からしてこのガキは何かきな臭い仕事をしているようだ。
じゃなければ飼い猫にこんな装備はさせないだろう。
猫を観察していたら不意に猫がガキの腕から飛び出して走っていく。
ガキは一瞬追いかけようとするが、すぐに諦めて猫を見送った。

「いいのか、追いかけなくて」

「猫だからね。飼ってても自分の場所はちゃんとあるよ」

「そんなものなのか」

そんな話をしていると弟の方で悲鳴混じりの歓声が上がる。
そちらに目をやると泥酔男が倒れている。フェリシアーノのことだ殺しはしてないだろう。
俺はガキに先を歩かせて地上街に出ることにした。

「おい、先にカーザに戻ってるぞ」

「うん。こっちは任せて!」

ガキは階段を少し戸惑いながら上ると眩しいそうに目を塞ぎながら空を仰いだ。
もしかして空を見るのが初めてとかか?
地上はさっきまでの夜の感覚を忘れさせるような昼下がりの日差しで溢れている。
陽の下で見るとかなり汚れた格好をしているガキは俺に独り言のように問いかけた。

「あの空はどのくらい高いところにあるの?」

「さあな。目に見えるってことはそう遠くないんじゃないか?」

「遠くに何か飛んでる。あれ何?」

「ただの鳥だ。ほら、ぐずぐずしてないで行くぞ」

空を見上げたまま動こうとしないガキを引きずってやっとカーザまで着いた。
トーニョの部屋は三階の一番大きな部屋だ。好奇心旺盛なガキを連れて行くと考えると今から疲れる。
予想通り、目に入るもの全てに反応を示すガキをあしらいながら階段を上る。
やっと着いた扉の中にガキの首根っこを掴んで放り込む。

「後は任せたぞ」

「ロヴィ、ありがとう」
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