第1章 彼と初めて出会った日の事
そう言うとリョウは何がおかしいのか下を向いてケラケラと笑い出した。
そっとリョウの前にひざをついて表情を伺うとさっきまでの素直な子供顔はなかった。
俺と目が合うと笑っていた顔が急に恨みと怒りの目に変わる。
俺を睨むその目は確かな怒りの視線で俺の動きを止めた。
あまりの豹変に言葉を失っているとリョウは俺をあざ笑うように言い放った。
「六年前にお前の部下に殺されたよ」
「…なんやて?」
六年前。その言葉に俺は凍りついた。
俺がボスになってから一番大きな出来事。ダウンタウンで暴動が起きて下町のマフィアを集って制圧した時のこと。
制圧の名の下に行われた虐殺だと誰もが口をそろえて言うほどの惨劇やった。
ダウンタウンで手に入れられる武器などたかが知れている。
それに比べてこちらは武器市場のほとんどを占めているのだから差は歴然で非難した住人以外はほとんど壊滅という今だ後をひく事件。
ダウンタウンを今の植民地の状態まで貶めた事件だったが、今ここでそれを思い出すことになるとは。
リョウはもう一度床に視線を落とすと深いため息を吐き、力なく言った。
「死んだ後ってのはどこに行くもんなんだ?俺は、また独りか?」
その言葉にすっと肩に手が伸びたが、その直後にロヴィが部屋に迎えに来た。
生きてきた中で残酷な瞬間が度々あるがその中でも三つの指に入るほどの無慈悲な瞬間に思えた。
リョウはそっと椅子から立ち、ロヴィの方へ向かう。
俺はリョウと共に部屋を出るロヴィを呼び止めていた。
「なんだよ」
「…その子は、俺がやるわ」
「は?何言ってんだよ」
「ロヴィは家の人間やないしな。流石にここまで頼めんわ。はよフェリちゃんのとこ行ってき」
「……そうかよ」
そういってロヴィは廊下を出口の方へ歩いていく。
階段を降りる前に一度立ち止まってこちらを見た。
「おい、帽子。忘れてるぞ」
「あぁ、うっかりしとったわ」
愛用のテンガロンハットを取り、目深に被ると地下へとリョウの手をひいて連れて行った。