第2章 第二章
「へぇ、そいつは立派なことだ。」
ぐらつく視界の中であの青年を見つめながら、芝居掛かった演技をする。余裕がないのがバレるとメンタル的に相手が得をするからだ。
構えを解き、じっと相手を見つめた。どこを取っても無駄の無い身体つきをしていた。
そこで漸く、一つの考えが胸中に湧き出た。
殺すのもやむをえない…か
今ここで対象者を始末しそこなえば、現世で更に膨大な数の死者が
出ることになる。
ならばそれを防ぐ為に、彼には死んでもらうしかない。少なくとも邪魔をするならば。
ハァと息を吐くと太郎太刀に目配せし、刀を一本投げ渡させた。