第1章 第一章
「主…」
案の定、振り返ったそこには、両手を組んだ主が仁王立ちしていた。ポーズは相変わらずのものだったが、いつもとは違い、静かに全身から怒気を発していた。
そして、無言のまま、倒れている鶴丸と三日月の元へと歩み寄る。
「あ、主…」
二人が顔を上げた瞬間、主が二人の頬に思いっきり平手打ちを入れた。甲高い音が響いて、二人の体が吹き飛ぶ。
「お前らァ!!ホンマええかげんにせえよォ!!」
倒れている二人に主はそう、一喝すると、彼らの反応を待たずに練習場から出ていってしまった。
主が荒々しく扉を閉めて出ていった後、誰も動こうとしなかった。全員が初めて見た主の激昂の迫力に動けなくなっていた。
いつもは冗談交じりに怒る主が一言だけではあったが、ここまで怒ったことに改めて鶴丸と三日月は後悔している様子であった。