第1章 第一章
「あぁー!!」
「フフッ、油断をしているお前らが悪いだろ」
勝ち誇ったように鶴丸はそう言うと、猫撫で声で「なぁ、蛍よ」と腕の中の蛍丸の頭を撫でた。
最初の内は、ただ鶴丸を悔しげに見ることしか出来なかったが、山姥切は途中から鶴丸が頭を撫でている手とは逆の手が蛍丸の体のあちこちを触っていることに気付く。
「おい、鶴丸!」
「死ぬがよい、鶴丸ぅぅぅぅぅぅ!」
ズサァ!! 三日月の怒りの刃が鶴丸へと襲いかかった。
「おいおい、マジギレなんてらしくないぜ!」
ギン!と鈍い金属音を立てて鶴丸はそれを自身で受け止める。受け止めた本人は余裕しゃくしゃくであったが反対の手に収まっている蛍丸は真っ青だつた。
そのまま二人は止める間もなく真剣で向かいあい。決闘を始めようとしていた。