第1章 第一章
「おい、山姥切よ、いつまで撫でているつもりだ!?」
突如自分に降りかかって来た殺気を孕んだ声に手を止め、声の持ち主三日月宗近をキッと睨み付ける。
「なんだ文句でもあるのか?」
「ああ、大ありだ」
そう言うと不服そうに三日月が立ち上がると、山姥切と蛍丸の間に自分の袂をサッと走らせる。すると次の瞬間には山姥切の目の前に蛍丸は居らず、いつの間にか三日月の手の中へ収まっていた。
「お、おいあんた何やってるんだ!?」
「ふむ、やはりこれでなければ落ち着かぬな」
慌てて取り返そうとするが、さすが天下五剣。華麗な動きで手を払われ、かわされた。
無理だ、そう思いかけたその時。
「油断大敵」
今度は鶴丸が三日月の手から蛍丸を奪い取っていた。