第1章 第一章
三日月と鶴丸からのヤジに堪えること一時間。流石に蛍丸からも疲れの色が出始めたため、一時休憩をとる。すると
「蛍丸殿、「ぽかりすぅえっと」はどうですか?」
と一期がすかさず手作り(といっても粉を水に入れるだけだが)のポカリスウエットを差し入れに持ってきた。
「おい、抜け駆けは無しだぜ!」
「抜け駆けではございません。ただの差し入れにです…やましい事ではありません」
「おいおい、夜にあんな事をやってた奴が言える…」
「ナンノコトデスカナ? ツルマルドノ?」
こいつら何やってんだ?山姥切は心底そう思った。蛍丸を見るため、触れ合うためにここに来ているはずなのに、恋敵とケンカしかしていないじゃないか。もし俺があんたらの立場だったら今ごろは蛍をつれて逃げてるぞ。
そう思いながら愛しい男の子の頭にそっと触れる。とても触り心地の良い髪を撫でていると、いつの間にか蛍丸の眼が気持ち良さげに細められており、山姥切の庇護欲を誘った。