第15章 サヨナラしますか
「黒尾先輩も、私を、……疎ましいと思ってたんでしょう?」
だから、かおりにそう言われたときには、これ以上ないってほど驚いた。
俺たちの住まいのちょうど中間にある公園。ベッドタウンにひっそりと佇むここ。錆びついたブランコに腰かけて、かおりは、たしかにそう言ったのだ。
「……バレてた?」
「今日、さっき、気付きました」
否定しないんですね。
そう言いながらブランコをこぐかおりは無表情で。まるで、一切の感情を失ってしまったかのように見える。
空虚さえ感じさせる瞳。
ジッ、と俺を見つめる。
「先輩も兄に恋してたんですね」
「…………恋?」
「だって、すごく辛そうな顔してた」
ああ、そうか。こいつはたぶん練習試合でのことを言ってるんだ。
マネと木兎が会話してるのを、俺は、たしかに見てた。物憂げな表情だったことも認める。
でも、それは。
「恋とかじゃねえよ。俺も木兎(あいつ)とおなじ側のコートに立ってみたかったな、って、そう思っただけ」
ただ、それだけ。