第15章 サヨナラしますか
「自覚がないんですか」
それとも。
「そう言い聞かせてるんですか」
とんでもない言葉を残して去っていくかおり。その背中。兄とは似ても似つかない、小さくて細い背中。
呆然として、俺は、徐々に見えなくなっていく彼女を見やる。
──俺が、恋、木兎に?
まさか。そんなワケない。
「俺のは、ただの憧れ、だろ」
冬某日。深々と冷える公園。
かおりの姿が夜に溶けて、しばらく経ったあと。鳴ったのはジャージのポケットのいれていたスマホ。メッセージを知らせる通知音。
開いてみるとそれはかおりからで、そこには、短い言葉でこう書かれていた。
サヨナラ(しましょう)__fin.