第12章 いつか王子さまが
「どうしてこうなった!!?」
「……だから、声、喧しい」
「無理です! 絶対無理!」
ヘルプ、ミー、誰か助けて。
懇願するような目で周囲を見渡すが、時既になんとやら。この部室を訪れたとき。その瞬間から、すべては始まっていたのである。
赤葦と知り合いの、女子。
木兎光太郎の妹の、女子。
そして何より、梟谷演劇部に中途入部を希望する、女子。
捕まらないワケがなかった。
文化部とは思えぬ機動力で私を捕らえた【演劇部員】の皆さん。彼らは、涙すら浮かべてこう叫ぶ。
ああ!やっと現れた!
「僕らのシンデレラ!」
その、瞬間。
王子さま(仮)こと赤葦京治が、あからさまに嘲笑したのを、私は決して決して見逃さない。腹黒王子め。
あれよあれよと話が進んでいく。
台本。衣装合わせ。メイク。
魔法使いのおばあさんもビックリの早技だった。鏡を見ればあら不思議。そこには、シンデレラに変身した自分が映っている。