• テキストサイズ

(HQ) プラトニック・ラブ

第12章 いつか王子さまが



「赤葦くんにはね、ポスターの撮影に協力してもらってるんだ」

 おっとりとした口調だった。

 例えるなら、そう、くまさん。

 プから始まる蜂蜜好きのキャラクターを彷彿とさせる彼こそ、梟谷学園演劇部をまとめる部長である。らしい。

 尊敬の念をこめて部長さんと呼ぼう。

 彼の名誉のために言っておくが、くまのPさんをもじったとか、そういうワケではない。赤いTシャツを着せたいだとか、そんなことは全然思ってない、全然。

 閑話休題。

 彼曰く、梟谷演劇部は慢性的な人員不足。唯一の女子部員は昨年卒業してしまったし、残るは、男子部員が六名だけ。

 迫る冬季公演の演目は【シンデレラ】と、部の伝統でそう決まっているらしいのだが──


「見ての通り、僕らは、王子さまには程遠い見た目でね……せめてポスターだけでも、ってことで赤葦くんにモデルをお願いしたんだ」


 部長さんは三年生だ。

 聞けば、クラスは兄と同じ一組なんだとか。兄の紹介だと思うと心中複雑だが、まあ、たしかに。

 衣装を身にまとった赤葦は、……王子さまである。どこからどう見ても王子さまだ。非常に釈然としないけれども。

/ 96ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp