第2章 お兄ちゃんと私
兄が中学に入った頃だ。
出会った時はほとんど同じだった身長が、どんどん離れていって。兄の声が低くなって。私は胸が丸みを帯びて。
ああ、私たちは男女なのだ、と至極あたりまえの事実を突きつけられた気がした。
『俺、かおりのことが好きだ』
初めて兄の唇が頬に触れた日。
彼が口にした言葉はたしかに告白だった。素直にうれしいと思ったし『私も』だなんて、笑顔で答えたのだけれど。
親の再婚で出会った私たち、血の繋がらない兄妹が、好き合うことの意味。
それを知ってしまったのは彼に、お兄ちゃんに、恋をしてしまった後だった。