第8章 悪いことしましょ
「……何で知ってるんデスカ」
「あ?」
カフェを出て、人で溢れかえるスクランブル交差点を歩く。横断歩道を渡りきった先でおずおずと聞いた私に、先輩は高い位置から声を返した。
「木兎に相談された。電話で」
「……お兄ちゃんから?」
「そ。妹に謝りたいんだけどどう言えばいいのかわかんねー! って、あいつマジ声でけえ」
そういうことだったのか。
私たちの仲までバレてるのかと思って、ちょっとヒヤヒヤしt
「お前ら付き合ってんの?」
おっふバレていらっしゃる。
な、なんで、どうして一体どこでバレたんだろう。
顔面を引きつらせる私。
呆れたように笑う先輩。
「……こうも簡単に鎌にかかるんだもんな。さすが木兎の妹だわ」
「だっ、騙したんですか!?」
「お前馬鹿ダロ、いい意味で」
「いい意味でバカって何ですかね。そんなの聞いたことないしウザい」
許すまじ黒尾鉄朗、である。