第7章 プラトニックなの
「俺、どうすりゃいんだろ」
鼻づまりの声で木兎は言う。
「お前はどうしたいんだよ」
月並みな言葉しか返せなかった。
俺だってそれなりに、ニガい恋のひとつやふたつしてきたつもりだけども。木兎が抱えてるモノは、あまりにも大きすぎて。
だって、考えてもみろ。
惚れてる相手がたったひとりの妹。苗字も、住まう家も同じ、生活を共にする家族。それで、その妹に手を出したのが、俺たち梟谷にとって欠かせない存在の後輩。
赤葦は、木兎にとっては家族と同じくらい大切な相棒だ。
無理だ。俺だったら。
とっくのとうに心が折れて、逃げ出してしまっていただろう。
「俺は……俺も、もう、自分がどうしたいのかわかんねーんだ……」
「……そうだよなァ」
聞かなきゃよかった。
でも、話してくれた。
その勇気と信頼が、チームメイトとしては非常に嬉しくもある。
俺たちの大事な主将に。
そして、大切な友人に。
俺は何を言うべきなんだろう。