• テキストサイズ

(HQ) プラトニック・ラブ

第5章 狂いだす



 思い起こされるのは、昼休みの非常階段。嘘みたいな本当のできごと。


『木兎さんの妹』

『……こ、今度はなに』

『俺とデートしない?』


 兄たちのいる中庭に視線を向けたまま、赤葦京治はとんでもないことを提案した。ちなみに、その意図は未だにちっとも分からない。


『デートしてくれるなら
黙っててあげてもいいよ』

『なっ……黙ってる、って』

『あんたの、好きなひと。
ここで言ったらまずいよね』


 やつは確信してる。

 私の、兄に対する思いを。

 どうしてバレたのか。どこまで知っているのか。驚きと、疑問と、不安がない交ぜになってワケが分からない。

 ただ──


『逃げたらバラすから』


 赤葦に弱みを握られた。
 それだけは確かだった。

/ 96ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp