第4章 変わってしまった
「木兎さんの妹」
「……ハイ」
「あれを、どう思う」
校舎東側の非常階段で足を止めた赤葦は、抑揚のない声でそう問うた。
「どうって……お兄ちゃんと木葉センパイ、が、いますネ」
何かと思って見下ろせば、東西の校舎に挟まれた中庭で、兄と木葉先輩が昼食をとっている。
なんの変哲もないランチの風景。
その、はずだったのに。
「──……っ!」
見間違いかと思った。
そうであればいいと、心底そう願った。でも、もうひとりいる。兄の影に隠れて見えなかったけど、もうひとり、誰かがそこに──
「綺麗だよね。チア部の部長」
冷淡な声に弾かれて顔をあげた。
視線がぶつかった先、切れ長の目をすっと細めた赤葦京治は、やけにゆっくりとこう言い放つ。
「告ったらしいよ、木兎さんに」