第7章 いけないきみ
すっと離れたの手。
それなのに私の腕は
そのまま動かなかった。
あわよくばの方に
伸ばそうとしている。
を掴もうとするみたいに。
あの花を奪おうとしてしまう。
「 いつも側にいてくれて
本当に感謝してたんだよ?」
「 しんみりするのやめてよ 」
「 いいじゃん。お別れっぽくさ 」
なんて言って笑う。
涙が見え見えなんだけどな。
「 わたしの幸せを
見守ってくれてたから
今度はわたしがそうする番だと思う。
別の場所からしか応援できないけど
和くんも早く自分の幸せ見つけてね 」
あなたさ... よくそんなこと言えるよ。
さっきまであんなことしてたのに。
そんな約束できっこない。
「 そのために今日のことは忘れないと 」
不可能なことばっか言ってきやがって。
言うなら忘れ方教えてくれっての。
「 忘れ方教えてくれたら忘れるよ 」
「 新しい幸せを見つけたら... 」
それなら私は一生忘れられない。
いつだってどんな時だって
私の幸せはあなただけだったから。
ふう、と息を吐いて
何かにケジメをつけたような。
にこっと笑顔をこちらに向ける。
「 ずっと一緒にいた親友が
いなくなったからって
死んだりなんかしないでよ〜?」
「 そんなことしませんよ。
私の中のあなたなんて
ほんの3%だから 」
「 3%... それは辛い 」
なんて笑いあえることが幸せだった。
これでいい。
これでよかったんだ。
「 じゃあほんとに行くね?」
「 うん 元気でやれよ 」
「 そっちこそね 」
靴を履いてドアを開けた。
私の大好きな笑顔の奥に
ほんの少しだけ違うものがよぎった。
「 和くん... ありがとう 」
その言葉を残してドアが閉まった。
し〜んと静まり返る部屋。
またいつもの部屋に戻った。