第7章 いけないきみ
重い瞼をこじ開けて
腕の中に何もないことに
少し寂しさを感じた。
ただ手の平には温もりがある。
きちんと服を着たは
ベットの側に座って
ベットに突っ伏して寝ていた。
私の手を握ったまま。
付き合ってた頃
初めてした時もそうだった。
目覚めたら私だけ裸で
はこうしていた。
私だけ裸なことに
どれだけ失笑したか。
は朝起きて裸で
接するのは恥ずかしいからって。
「 何も変わってないな 」
記憶が無くなったとしても
何も変わってない。
だから、涙を流さないで欲しかった。
寝ているの頰には
何本もの涙の跡が見える。
勝手な思い込みかもしれないけど
その姿は私に許しを請いて
いるように思えた。
まあ、都合良く考えすぎか。
そもそもは
悪いことしてないし。
「 おはよう... 」
服を着ていると
寝室から出てきた。
少し気まずそうに挨拶する。
「 先生には言わないから。
メスで殺されそうだしね 」
は口角を上げて
深く頷いた。
分かってるよ。
先生は絶対そんなことしない。
「 そろそろ帰らないと... 」
「 それ昨日の夜も聞いた 」
「 今度は本当に 」
「 うん 」
そっと手を繋いでくる。
また何かを押し殺すように
深く深く目を瞑る。
「 これで最後にする 」
「 何を...?」
答えを聞くのが怖かった。
は何も言わない代わりに
にこっと悲しそうに微笑んだ。
「 ううん 何でもない 」
「 なら 良いけど 」
良くなんかなかった。
変な胸騒ぎばっかりして。
けど何も聞き返せない。