第7章 いけないきみ
「 遅くまでお邪魔しました 」
玄関に向かって
歩き始める。
その後ろ姿に
どうしようもない思いが募る。
ピタッと足を止めて
大きく深呼吸をする。
何かを押し殺すように。
やっぱり何かに違和感を感じる。
「 元気でね、和くん 」
は振り向いてそう囁いた。
今にも崩れそうな表情で。
「 二度と会えない訳じゃないんだし。
そんな暗くなるなって 」
「 人生なんて分かんないよ?
明日が最後かもしれないし...
ちゃんと伝えたいことは
伝えとかないと 」
妙に納得させられる。
そんな彼女の言葉を
過去の自分に
言い聞かせてやりたかった。
何もかも伝えられてない。
好きだとも、大切なものだとも。
そうやって
今と過去で葛藤しているときに
の行動で今に呼び戻された。
「 ...っ 」
重なるの唇と体。
ダメだって分かってるのに
の行動に胸が高鳴った。
「 ... こんなことしていいの?」
隠すように顔を
私の胸に埋める。
何よ あなた
いつから小悪魔になったの?
「 海外に行ったら
ハグなんて普通のことだもん 」
「 キスは普通じゃないでしょ?」
わざとを
困らせるようなことを言った。
これは結婚式の日の
私に対する戒め?
「 普通じゃない... 」
涙が溜まったその瞳に
下からぐっと見上げられる。
そんなことされたら
止まらないでしょうが。
「 ごめん... 」
どんどん近づいてくる
の表情は
あまりにも悲しそうで
あまりにも愛おしかった。
なんでそんなに悲しそうなの?
を苦しめるだけだって。
ダメだって分かってるのに。
理性も無くなりかけた私には
自分の都合しか残ってなかった。
「 ... 」
そこから先は裏の時間。
の首元を後ろから掴み
自分の顔に近づけた。
ぶつけるように
思いを重ね合わせ続けた。
さっきまでふたりの幸せを
願ってたっていうのに。