第7章 いけないきみ
「 はい できた!
どうぞ召し上がれ 」
ふたりで向かい合って
テーブルに座った。
座る位置も皿も見た目も味も
全部一緒で。
ただ違うのは
私たちが付き合ってない
ってことだけだった。
「 どう?美味しい?」
「 うまい 」
「 よかった。
最後に食べてもらえて 」
まるで本当に
最後のように言う。
まあ、私もキスしたとき
そのつもりだったけどさ。
今じゃこれからも
こうやって会いたいと思う。
「 何そんな重く考えてんのよ。
たかが海外に行くだけでしょ 」
「 ふふっ そうだった。
何か不安ばっかりでさ。
どうしても重く考えちゃうんだよね 」
「 一人で抱え込まずに
ちゃんと先生に相談するのよ?
凄腕先生なんだから
ちょちょいのちょいよ 」
「 うん そうだね 」
それから何気ない会話が続いて
キスしたことを忘れたかのように
何の変わりもなかった。
初めのチャイムで中に入れなかった
自分に少し後悔が湧く。
「 そろそろ帰らないと... 」
「 そろそろってか
もう12時ですけど
櫻井先生待ってんじゃないの?」
「 翔さんね
1日早くアメリカに行ってるの。
向こうで手続きとかしてくれてて。
その間にいろんな人に
お別れしてきなって 」
もう明日出発するってことか。
やけにそのことが頭に残った。
あ〜あ てか先生はほんと優男だな。
私からしてももう一回に
会わせてくれて本当に感謝。
これでケジメつけないとな。
ふたりの幸せのためにも。