第7章 いけないきみ
ひょこひょこしながら
ソファの椅子を
背もたれにして座る。
「 なんか食べる?」
あなたのことだから
何も食べずに座ってたんでしょ。
「 作れるの?」
「 無理 」
「 だろうね。
キッチン借りてもいい?」
「 喜んでお任せします 」
ふふっと笑いながら
冷蔵庫の中を漁る。
何やら文句を言われるわけ。
「 料理しないのに
材料だけは一丁前に揃ってる 」
「 ほら、潤くんが作ってくれるから 」
「 ああ、そっか。
松本さんは料理上手だもんね。
松本さん特製のローストビーフ
ほんとに美味しかった 」
未だにちょっと傷つくことがある。
が事故の前のことを話す時。
そこに私はいないんだなって。
「 こんな材料揃ってるなら
ハンバーグシチューにしよっかな。
わたしの好きな料理だけど 」
ちょっと待って。
心臓が強く波打った。
いつからハンバーグシチューが
好きな料理になったの?
あなたの好きな料理がシチューで
私の好きな料理が
ハンバーグじゃなかった?
少し違和感を感じた。
まあ、記憶があやふやなのか...
「 それでいい?」
「 うん 」
「 少々お待ちを〜 」
付き合ってた頃のようで
ずっとこの時間が
続けばいいと思った。
でもそういう訳にもいかなくて。
「 で、何しに来たの?」
包丁をトントン
言わせるに聞いた。
自分からこの時間に終わりを告げる。
長く続くほど辛いから。
「 ... 海外に行く前に最後に
和くんに会っとこうと思って 」
また何かに違和感を感じた。
何がそんなに引っかかる?
ただその何かは分からなくて
そのまま放ったらかしにした。
「 結局どこ行くの?」
「 アメリカの大学病院。
難病の患者さん達が集まる所で
その分すごい先生ばっかりなんだって 」
「 櫻井先生もその一人って訳ね 」
「 すごいでしょ?」
「 見合う奥さんにならないとね 」
「 うん... 英語も頑張ったんだから 」
先生のことを話すときのは
やっぱり櫻井先生で
よかったと思わせる。