第6章 新しい君
「 海外勤めになるから
あっちに住むことになる... 」
「 なんでそんな
悲しそうな顔するのよ。
夫さんの出世なんだから
もっと喜びなさいよ。
海外暮らしなんてすぐ慣れるって 」
「 そうじゃなくて...
和也と会えなくなるから... 」
なんでそんなこと言うかな...
こっちの気持ちも知らないで。
わたしにとって和也は
家族同然だから
なんて言うんだろうけどさ。
私にとってあなたは...
そんな言葉で済ませたくない...
けど私からしたらそれでよかった。
離れたほうが... その方が...
この気持ちを隠さないで済む。
「 今何時代か分かってます?」
「 え?平成...?」
「 声聞きたくなったら
いつでも聞ける時代だし。
会いたくなったら
いつでも会いに行ける
時代なんだから 」
この言葉はただの慰め。
もう聞くことも会うこともない。
今日で全部終わりにしよう。
この関係もこの気持ちも。
何も伝えてこれなかった。
だから、これだけは。
「 ... これ 」
「 急に何...?」
結婚のお祝いと
これまでの感謝と
本当の気持ちを込めて
マーガレットの花束を差し出した。
「 綺麗な花束...!
この花、マーガレット?」
この花束がブーケだったら
どれほどよかっただろう
なんて思ってしまう。
「 、ありがとう 」
私の彼女でいてくれてありがとう。
側にいさせてくれてありがとう。
幸せになってくれてありがとう。