第6章 新しい君
「 見て!虹!」
「 うわっ!」
いきなり隣に現れた
ドレス姿のに
思いっきり変な声が出る。
いろんな意味を含めて。
まだ心の準備が...
「 綺麗だね... 」
驚いてるのなんてそっちのけで
優しい瞳で虹を見つめる横顔が
私の中では一番綺麗だった。
は虹を、私はを
愛しい眼差しで見つめる。
「 お前の方が... 」
そんなことを
言いそうになった自分に
途中で気づいて口を紡いだ。
また伝えられないことが増えた。
「 急に何... 和也らしくない 」
「 人妻が照れてんじゃないよ 」
照れ隠しにそう言った。
頬をほんのり赤くして
下を向く彼女に
なぜか胸が苦しくなる。
「 何か人妻って
イケない感じに聞こえる 」
何かエロいよね
なんて笑う彼女の笑みは
櫻井先生の姿を含めた笑みだった。
幸せなんだって丸わかり。
あれだけ他の誰かと
幸せになってほしいと願ったのに
笑顔になってほしいと願ったのに
なんで素直に喜べないんだ。
「 花嫁さんがこんなとこに
いていいんですか?」
「 だって翔さん
挨拶周りで忙しいんだもん。
病院の話ばっかするから
抜け出してきちゃった 」
「 そんなんじゃ
医者の妻は勤まりませんよ 」
そんな私の言葉に
は決まり悪そうな顔をする。
冗談だったんだけどな。
「 ほら今すぐ愛する
夫さんのとこに戻りなさい 」
「 本当は... 本当は和也に
伝えなきゃいけないことがあって。
翔さんに言ってきなって言われたの 」
真剣なにドキッとした。
が悲しげに
話し始める度に
記憶が戻ったんじゃ
ないかと不安になる。
「 ... 翔さんの仕事の都合でね
アメリカに行くことになったの。
提携病院から勧誘されたんだって。
翔さんすごいでしょ?」
誇らしげに夫を自慢するは
立派な医者の妻だった。
記憶のことじゃなくて安心する自分と
の言ったことに
胸が痛くなる自分がいた。