第6章 新しい君
鏡の前で礼服のネクタイを締める。
結婚式に行くために。
気持ちの整理もつかないまま
あっという間に結婚式。
と櫻井先生の。
聞いた時は父親みたいな反応だって
に笑われたもんですよ。
喜んで祝えない。
けど行かなきゃいけない。
この気持ちを終わらせるため
そしてお別れのために。
マーガレットの花束を持って
式場に足を運んだ。
『 誓います 』
と言ったふたりの幸せそうな顔が
今でも頭によぎって仕方ない。
作り笑顔に疲れてしまって
外の庭園のベンチに座った。
「 これで本当によかったの?」
そう声をかけてきたのは
唯一嘘を知ってる相葉さんだった。
なんでこんな私にも優しいんだ。
「 の笑顔見たでしょ?
これ以外に良いことなんてないよ。
側にいてあげてって頼まれたのに
もう無理みたい、ごめん 」
「 そんな約束どうでもいいよ 」
どうでもよくなんかない。
あの時相葉さんに
そう言われてなかったら
私はどうしてただろうか。
ずっと逃げてたかもしれない。
「 でも二宮君は... 」
「 私の気持ちなんて関係ない。
今まで一緒にいれただけで良い 」
もしが
記憶をなくしてなかったら
私を嫌っていただろうか。
私を恨んでいただろうか。
「 もう終わりにしようと思う 」
「 ... 何を?」
「 これ以上一緒にいたら
気持ちが止まらなくなる 」
自分の頬に水滴が落ちた。
すっと空を見上げたけど
雨なんかじゃなかった。
「 この気持ち伝えたらさ
傷つくかな?」
相葉さんは首を
縦にも横にも振らなかった。
あの時みたいな説教
待ってんだけどな。
「 俺とはまた会ってくれる?」
「 たぶんね 」
相葉さんは全部分かってんですね。
子供のような相葉さんに
ふっと笑いが出た。
いつのまにか相葉さんという
友達もに貰ってた。
「 じゃあまた 」
「 うん 」
「 ... 最後くらいわがままに
なっても良いと思うよ 」
そんな言葉に
何の返事もできなかった。
今までずっとわがままだったから。